2018/05/23 08:57

構成者あとがき

 

 私がみけマンマこと、山本由紀先生と知り合ったのは、2010年頃、ツイッターを通じてのことでした。知人から「すごい女性空手家がいる」と教えられてさっそくフォローし、以来、各種SNS、ブログ記事を通じて無数の「みけマンマ語録」に接してきました。

そこから伝わる活躍ぶりにすっかりファンになり、2011年には、「もしも何かの面接試験で、尊敬する女性はと問われたら、一番に上げるのは山本由紀である」とSNSで宣言しています。

 私がそう言うのは、由紀先生が、極真空手の全日本大会優勝五回などの華々しい戦歴をあげているからではありません。私が由紀先生に最大級の敬意を払っているのは、空手の試合だけではなく、人生において、常に誰かのために闘っているからです。

 その闘いのほんの一端を、この本に収めています。立場の弱い留学生のため、高齢者のため、子供のため、女性のため、傷ついたり病んだりした人のために、声をあげ闘い続けている姿は、正義感と誇りある人間としての強さ、そのものだと思います。

 その闘いの中、由紀先生は数えきれないほどの暴言、批判、非難にさらされてきました。本文中に記述がありますが、私自身も、ネット上で悪意ある書き込みを目にしたり、空手団体の更衣室内で、由紀先生のことを悪しざまにうわさし、あげつらう一団を見かけたりしたことがあります。

 心が弱い女性であれば、とっくに空手をやめ、引きこもってしまってもムリもないような状況でしょう。しかしそんな中、由紀先生は心の傷も、身体の傷も、ものともせず、自分の信じるところを貫き、試合に勝ち続けてきました。

 私は、執筆業に携わっていますので、いつの日かこの人のことを本にしたい、広く世の中に伝えたい、と考えるようになりました。この度、それがようやく実現し、由紀先生と知り合ってからの長い日々のさまざまな出来事を思うと、感慨深いものがあります。

 「世間がこうだから、他人にこう言われたから」を理由に自分の思いを諦め、歩みを止めてしまうのは、本当に残念なことです。ひとりでも多くの人がこの本を通じて、自分なりに「人生を闘い抜く」強い気持ちを持てたら、というのが、構成を担当した私の願いです。

 この本の執筆、制作、刊行にご協力くださいました皆様に感謝いたします。

                             2018年5月   大嶋利佳